煌めき囁き、彼女に夢中
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「・・・あ、もくれん」
「木蓮?」
「うんそう、あれが咲くとね、春だなあって、思うの」
「・・・っ!」
思わず噴出してしまった己を誰が責めよう。
はくはるこうふくろん
「っちょ、あらがき、そんなに笑わなくたっていいじゃないっ」
「いや、だって、はっ、あんた、そんな顔してじじくさっ・・・あはははははっ!」
(こんなにわらうとこはじめてみた)
「木蓮咲いて春だなあって思うのの何が悪いのっ」
「普通は桜とか咲いたら春だなあって思うんだって現役高校生は」
言いながらもどうにもまだ笑いが止まらない。くすくすと笑いがこぼれたままなのは自覚済み。
まさかこんな一面があったとは、いわれてみればなかなか盆栽なんかが似合いそうではある。
「もう新垣笑いすぎ、ちょっとひどいよー!?」
「あーもうほんとだめあんたつぼった・・・」
あれ、俺こんなによく笑う人間だったっけ。
ここでこんな風に笑える日が来るとはまさかまさか、思っていなかった。
なんだかんだできっと俺はこいつに救われている。
「こら新垣、木蓮に失礼でしょっ」
「木蓮に失礼ってなんだよそれ、訳わかんねぇ」
(一生かかってもこいつには言ってやらないけれど)そんなことを思ったのは確かもう、過ぎ去った三月の終わり。
ああ、桜も散って、もうすぐ季節は青の匂いを濃くしていく。
(気付けばこいつとであった季節も廻ってくる、日々が流れていくのは早いもので少し悲しい)
結局俺は、相変わらずこの天然に救われたまま。
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